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企業算命の開発背景 その1 〜組織は人なり〜

全ての課題は、結局、人

社会に出て20有余年。

様々な問題やテーマに遭遇し、また、解決をしてきた中で思うことは、詰まる所、全ての課題は人に帰結するということでした。

昨今のAIの社会への浸透や機械化の流れは、業務プロセスから人間を極力排除することを推し進めようとするものです。

多くの資本家はそれを望んでいますし、特に日本のような労働力が不足していく社会構造にあっては、必要不可欠なことと思われます。

ビジネスが高効率に回るように仕組みを構築していくことは、経済的にも人心を鑑みても当然に良いことですから、それを批判するつもりは毛頭ありません。

しかし、どれだけ機械化を進めても、あるいは、仕事の人間疎外が進んでも、組織が存在する以上、人が人と関わることをゼロにはできません。

私は、業務改善のコンサルティングやシステム開発を主たる事業として営んで参りましたが、顧客が悩んでいることを煎じ詰めてみれば、結局、人間関係や人材の質の問題に行き着くのです。

また、プロジェクトマネジメント上発生する問題は、ほぼ100%、人にまつわるものです。

それ以外の問題がないわけではありませんが、解決が比較的容易で些末な問題であったように観じます。

企業が財務的に苦境に陥ることですら、元を正せば、人の問題を看過してしまい、それが積み重なった結果であると見ることができるケースが多いように思います。

ベストセラーとなった『ビジョナリー・カンパニー』シリーズで述べられていることを雑に抽象化すれば、「人をどう扱うか」を様々な角度から論じているのだと、私は捉えています。

ITを生業としてきた身の上で、このようなことを述べるのは若干気が引けるのですが、優れたIT基盤や洗練されたビジネスプロセスを確立している企業が、長期に亘る繁栄が保証されているわけでもなければ、人の問題から解放されるわけでもないのです。

私のこれまでのビジネス経験や人間観察の結果は、かの本が論証していることと一致していました。

ほぼ全ての経営者が繰り返す同じ過ち

そのような経験を交え、この10年ほど、人と組織の問題を多面的に研究して参りました。

その中で私が着目した主題は、「なぜ経営者は、高い確率で何度も採用ミスを繰り返すのか?」ということでした。

業界・業種・売上・従業員数・業歴、人格・人柄・学歴・地頭などの具合が様々な経営者の方々にお会いしてきた中で、その誰もが採用ミスを経験しています。

それも何度も。

片腕として信頼していた人間に会社を乗っ取られたり、実力がある社員に離反されて多くの顧客を奪われたりする状況に陥ったというケースもまま耳にしました。

当然、私自身も採用ミスは何度もしましたし、親愛の情を持って接していた社員が後ろ足で砂をかけて立ち去っていくような経験も一度ならずしています。

採用は、組織への入り口。

大変失礼な言い方になってしまいますが、良くない人材を採用してからなんとかしようというのは、有害なものを口にして、処理を内臓に任せるようなもの。

負担が大きいのです。

当たり前ですが、どうせ採用するなら良い人を採用したい。

しかし、良い人材の定義ができていない。

逆に悪い人材の定義もできていない。

仮にポジション毎の機能定義ができていたとしても、要件を満たすかどうかの判断が、職務経歴書に依存している状態。

自社の社風や理念との整合性を確認する側面では、多く企業で、採用担当者や経営者の好き嫌いといった属人的な要素が、採用の判断基準として大きなウェイトを占めているというのが、私が知り得た実態でした。

そこで、探求してきたテーマに対する一旦の帰結として、「多くの人にとって、人を正しく見極めることは難しいことである」との認識に至りました。

そして、人の見極めをしばしば過っていては、組織の繁栄など到底叶わないことを確信したのです。

どんなにカリスマ性が高い人でも、人を育てるのがうまくても、採る人を間違えれば、辛酸を舐める状況に陥ることは疑う余地がありません。

このような経緯で、「本当に機能する人材アセスメントとは、どのようなものだろうか?」という問いに辿り着き、企業算命の開発を始めたのでした。

ちなみに、経営者自身の人格に問題の帰結を持ってくることももちろん可能ですが、精神修養や自己啓発については、既に様々なサービスが世の中に溢れかえっています。

自分のことは棚に上げて、他責にしたいだけだろうと言われればそうなのかもしれません。

さりとて、採用は相手のある話。

自分だけでどうこうできるのなら、世話がないのです。

修身は当然のこととして、人間存在を深く洞察してみたいと願う経営者とご縁をいただけましたら幸甚に存じます。

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